05年シーズンを迎え、発売から丸2年が経過したCB1300スーパーフォア(以下SF)に、ハーフカウルを備えたバリエーションモデル、スーパーボルドールが加わった。
それと同時に各部に熟成を施す改良が加えられた。
大きなポイントとして、左右のサイドカバーの厚みを20mm減らすことで、足つき性の向上をはかっている。
そして、クラッチやリヤホイールのハブダンパーのクリアランスを詰め、
駆動系にスナッチが出にくい設定とし、乗り手の扱いやすさ向上を図っている。
さらに、PGMーFIのプログラム変更や、インジェクターをCBR1000RRの同型のものに変更、
点火タイミングなどのリセッティングなど、複合的な要素が組み合わされ、アクセル全閉のときから少しだけ右手をひねった状態での、
いわゆるトン突きを緩和し、シームレスなアクセルコントロールを目指している。
スーパーボルドールのスタイルの要となるハーフカウルの開発にあたり、
ネイキッドらしい軽快なハンドリングと、風があたる爽快さまでも考慮したという。
重量増加は6kgにとどめ、先述した2点をバランスさせるために様々なアプローチがなされた。
まず、走行風の心地よい成分を残し、疲労させる風圧をリデュースする。
「当たる風をコントロールしよう」をテーマに開発が進められた。
試作段階では、スクリーンに粘土を盛り、実走テストで風のフィーリングを掴んでゆく、という気の遠くなるような作業を繰り返した。
ミラーステーを翼断面とすることで、乱流の発生を抑える念の入れようだ。
そして、ヘッドライト両脇のエアインテークからカウルサイドに空気が抜ける風の通路を設け、
コーナリング時にも風圧でハンドリングが重くなるのを軽減するなど、空気を味方に付ける方策が採られているのだ。
乗り出してすぐに解るのが、駆動系の煮詰め部分だ。
とくにエンジン低回転時に、アクセルの微操作域の反応のスマートさは、乗りやすさというフィードバックになる。
それは、上質なライディングフィールを乗り手に届け、今日はうまく乗れているな、という高揚感で包み込んでくれる。嬉しいかぎりだ。
ワインディングでも、ブレーキング後にバイクを寝かしはじめるわずかな「間」ですら、CBとの一体感がとぎれない。
最近、こうした要素を煮詰めて、機械を人間の感覚に沿わせるのが、ホンダは本当にうまい。
最後に、スーパーボルドールのカウルの効果について。
時速100km/hで風の流れをみたところ、首から下に当たる風がほどよくキャンセルされ、両肩には、
自然にハンドルに手を添えた上半身の角度に沿うように、上から下に風が吹き抜けてゆくイメージだ。
スーパーボルドールの100km/h時は、カウルレスモデルの60km/h走行時程度の心地よさ、という印象。
■エンジン型式 = 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
■総排気量 = 1,284cc
■ボア×ストローク = 78.0×67.2mm
■最高出力 = 74kW (101PS)/7,000rpm
■最大トルク = 114Nm (11.6kgf・m)/5,500rpm
■トランスミッション = 5段リターン
■サイズ = 全長2,220×全幅795×全高1,205mm
■車両重量 = 266kg
■シート高 = 780mm
■ホイールベース = 1,510mm
■タンク容量 = 21リットル
■Fタイヤサイズ = 120/70 ZR17M/C (58W)
■Rタイヤサイズ = 180/55 ZR17M/C (73W)